【インタビュー】旅が力と心の余裕を生む。森崎ウィンさんが語る「旅行」の好きなところ

更新日:2023年6月16日

【インタビュー】旅が力と心の余裕を生む。森崎ウィンさんが語る「旅行」の好きなところ

俳優として、数々の映画やミュージカルに出演している森崎ウィンさん。その一方で、MORISAKI WINとして歌手としてもメジャーデビュー。華々しい活躍を続けている森崎さんですが、実は「旅」と「飛行機」が大好きなんだそう。「旅」が森崎さんにとってどんなものなのか、どんなところに「飛行機」の魅力があるのか。たっぷりと話していただきました。

舞台とツアーの同時進行で得たものは?

――つい先日まで、ミュージカル「SPY×FAMILY」でロイド・フォージャー役として主演を務めていらっしゃいましたが、公演を終えてみてどのようなお気持ちでいらっしゃいますか。

人気の原作を基に日本オリジナルのミュージカルを作り上げていくという中で、キャストの一員として携われたのは、一生の宝物になるくらいの大きな経験になりました。そして、純粋にめちゃくちゃ楽しかったです。

作品自体がとても面白いので、そこに音楽がついてミュージカルになっていく過程、ミュージカルをつくるというのがどういうことなのかを勉強させてもらいました。こういうご時世の中、誰一人欠けることなく最後まで走り続けられたのは、当たり前のようで当たり前じゃないと思いますね。

――東京、兵庫、博多と3都市、約3カ月半の公演で移動も多かったと思いますが、どのように過ごされていたんですか?

基本的に車で移動していたんですよ。東京は見慣れた街、行き慣れた道を走っていたんですが、博多までも車で行きました。東京の公演が終わって、ちょうど自分のライブツアーもやりつつ、いろいろなプロモーションもさせていただいたので、他県に寄りながら博多に向かって近づいていっていたんです。

僕とマネージャーで交代しながら運転していたんですけど、やっぱり車で走っているとそれぞれにその土地ならではの面白さを感じることはありましたね。そもそも、僕は純粋に旅が好きなので、出かけるときのワクワク感とかが半端なく楽しいんですよ。もちろん、仕事のための移動なんですけど、いろいろな景色を見て、まるで旅をしているかのような期間でした。

――東京から福岡までを横断してみて、印象に残った景色はありましたか?

テンションが上がったのは福岡の糸島ですね。最近、動画を撮るのが好きで、ジンバルを持ってVlogを撮ってるんですが、トトロの森の入り口みたいな場所を見つけて。ちょっと恥ずかしいんですけど、1人でテンション上がってしまって、大声出しながらはしゃいでました(笑)

――旅先での発見ってワクワクしますよね。ミュージカルと同時進行でご自身のライブツアーも敢行されていました。こちらも全国6都市を巡るものとなっていましたが、そちらの手応えはいかがでしたか。

ずっとやりたかったことだったので、「やっとできた!」という気持ちです。会場によって雰囲気も変わったり。完成っていうものはないと思うんですけど、それでもどんどん完成に近づくような感覚があったりして。1日目、2日目、と言えること自体が僕はすごく嬉しかったです。

セットリストも多少は変えてはいるんですけど、ツアーというパッケージは同じはずなのに、やっぱり場所によってオーディエンスのリアクションも全然違っていて。ずっと追っかけてきてくれる人もいたりして、本当にその日に立ってみなきゃ分からないことがたくさんあるんですよね。

――2ndアルバム「BAGGAGE」のリリースに合わせてのツアーだったかと思いますが、どんなコンセプトのアルバムですか?

タイトルのBAGGAGE(荷物)の通り、いろんなものを詰め込んだアルバムになっています。

メジャーデビューから2年ちょっと経って、アルバムの話が出てきて。コンセプトアルバム的な方向でも考えていたのですが、すでにデジタルリリースしている楽曲があったので、「その曲たちをCDに落とし込まないのはちょっと寂しいよね」っていう話になって。そういう楽曲たちを詰め込んでいこう、というところから始めて、気付いたらこういう形になっていました。

例えば、「旅行に靴下を3足持ってきたけど、2足でよかったな……」みたいな経験ってあるじゃないですか(笑)。

そういった経験をしたことで培われる感覚ってあると思うんです。なので「BAGGAGE」は2年の経験や感覚が詰め込まれた、まさにタイトルの名にふさわしいアルバムになったと思っています。

――旅の荷物を自分らしく厳選するように、自分らしいものだけを詰め込んだ1枚なんですね。舞台とツアーを並行してやってきたこの数カ月を振り返ってみて、どんなものが得られましたか。

ちょっと考え方が変わったような気がします。次にやりたいことも明確に見えてきて、やっぱり、その変化は大きい。人との出会いもたくさんあって、その出会いから新しく次に繋がるかもしれないこともあって……。そういう人と人とのつながりはとても大きいですね。

舞台で出会ったチームで「アカペラやってみたいね」とか、実際に実現できるかどうかまでは分からないけれど「やってみたい!」「やってみよう!」というモチベーションにつながること自体が、とても大きな収穫だったように思います。

それは、舞台とツアーが同時進行だったからこそ。旅先からの帰りに、荷物が増えて帰ってくることってありますよね。まさにそういう感じで、持ち帰るものが多い旅でした。

やりたいことをすべて詰め込んだ1人旅の魅力

――以前は年始に1人旅をして、反省と目標を考える時間にしていたそうですね。

実はその1人旅を実践できたのは1回だけだったんです。先を読みすぎてもつらい部分はあるし、終わったことは変えられない。ネガティブな方に目がいってしまって、周囲に対しても「なぜできなかったのか?」みたいに考えてしまって、自分の価値観を押し付けてしまう部分もあって、あまり良くないな……、と。

なので、今の僕にとっての1人旅はソロキャンプになっています。キャンプ中の動画を自分で撮るのにハマっていて、それが凄く楽しいんですよね。

ありがたいことに表に出る仕事以外でも、動いていることはたくさんあって。そういう中で「1.5日くらい空きますよ」ってなると、その間にやれることを全て詰め込んじゃうんですよ。

――貴重な休日の間に、やってみたいことはできるだけやってしまいたい、と。

博多にいる間にも1日だけ休みが取れたので、大分にソロキャンプに行きました。そのために、ドローンも買って、ジンバルもカメラも買って、レンズも2つ買って……って、一気に買っちゃって。

全部試そうとしたんですけど、ドローンは壊すわ、レンズも1個壊すわ、もう大変でした(笑)。

でもそういう趣味の時間が、意外とリフレッシュになるんですよね。以前みたいに、年始に反省ノートを書くよりも、趣味にしっかり没頭するほうが頭が切り替わる。もしかしたら、それが自分を知る時間になっているのかもしれないです。

反省点を出していくよりも、今あるものに対して自分がどれだけ一生懸命に向き合うか。普段のマインドの中で、反省点や次のステップを作っていけるようになっていきました。

――旅での自分らしく過ごす時間が、力と心の余裕を生み出すんですね。旅の準備って割としっかりされる方ですか?

割とがっつり持っていくタイプだと思います。現地でしか見つからないものはしょうがないですけど、なるべく用意していきたいですね。例えば、充電器とかを旅先で買うのはすごく悔しいんですよ。「なんでここで充電器を買わないといけないんだ……」ってなっちゃう(笑)。

――旅行の際、荷物に必ず入れるものはありますか?

革靴とジャケットスタイルの服を1ポーズは必ず持っていきますね。やっぱり人に見ていただく仕事をしているし、旅先でちょっとドレスコードがあるような場所に行きたくなった時に、現地でそういう洋服を買うとなると数万円はかかるじゃないですか。それなら僕は、その数万円をガジェットとかに使いたい(笑)。

――これまでたくさんの場所を旅してきたと思いますが、印象に残っている場所などはありますか?

直近だとやっぱり福岡に長く滞在したので、すごく新鮮で楽しかったです。繁華街の近くだったので、本当にどのお店に入っても美味しくて。あとは人の感じもすごく良かったんです。東京にいるときよりも、福岡で「森崎さんですか?」って声をかけていただけることが多くてびっくりしました。

あとは、沖縄も好きです。沖縄に行ってバックパックでキャンプしたい! 近場ですけど静岡も結構好きですね。最初の1人旅は静岡だったんですよ。やっぱり普段見ない景色を見ることで得られるワクワク感、高揚感って特別なんですよ。「世界ってこんなに広いんだ」って思えるんです。

――旅先ならではの人との距離感や感じるあたたかさってありますよね。

観光地のいいところって、知らない人が来るのが当たり前だから、「こうやって食べてみて」「これもおいしいんだよ」って、会話が弾むんですよ。こちらも「ちょっとここ分からないんで教えてください」「どうやって食べるんですか?」って、聞きやすい。やっぱり旅っていいなって思うんです。

あふれる飛行機愛と描いた未来のビジョン

――ウィンさんは大の飛行機好きとのことですが、空港での過ごし方や、飛行機のチェックポイントなどはありますか?

コロナ禍でしばらくできなかった時期もありましたが、ようやくラウンジに入れるようになったので、ラウンジでゆっくりしたり、乗る前にお酒をいただいたりすることはありますね。でも、何よりも「飛行機を操縦したい」っていう気持ちになっちゃう(笑)。

早めに搭乗口に行って、飛行機を撮影しちゃいますね。飛行機が離陸して、タイヤをしまう瞬間がカワイイんですよ。腕をキュッとしている感じで。

あと、旋回したあとのお尻がカワイイですね。肉眼ではなかなか確認できないんですけど、尾翼がちょっとピクピクと動いているんです。それが「バイバイ」って言っているような感じがして、すごくカワイイです。

――飛行機への愛があふれていますね(笑)。

そうなんです。高度1万メートルをあれだけの物体が飛んでいること自体が飛行機のロマンですよ。

それに、操縦している人たちがカッコ良すぎなんです。ルート選択とか全てが計算されていて、貨物と旅客でもルートが違うんですよ。貨物だと距離と燃費を優先に考えて飛行するんですけど、旅客だとなるべく雲には突っ込まないとか、お客さんのことを考えてパイロットが判断しているんです。そういうところがすごくカッコいいと思います。

セスナ機の免許であればアメリカで意外と安く取れると聞いたので、いつかガチで取りに行きたいです。

――またハリウッドへ挑戦されると思いますので、そのタイミングでセスナ免許も取れるといいですね。今後のお仕事としては、映画「おしょりん」が今秋から公開されますが、どのような作品なんですか?

福井の眼鏡産業のことを描いた作品で、職人たちの戦いや苦悩を描いています。やっぱり、先駆者って否定されるし、叩かれるし、道を切り拓くってすごく難しいことなんですよね。自分を信じることと、周りの人々とお互いのことを信じあう瞬間の美しさがあって、芸能とも似ている部分があるように思いました。

新しいことをやる瞬間って怖さもあって、でも「絶対にやるんだ」という強い想いがあるからこそ、やり遂げることができるというか。そういう強い想いが現代までつながっていると学べたので、勇気を貰える作品になったと思います。

オール福井ロケで、現地の方々が一丸となって映画に携わってくれたのが印象的でした。その方々とのつながりで、福井のキャンプメーカーの方とのご縁もできて、すごく楽しかったです。地元の方に美味しいところにも連れて行っていただいて、白樺ホルモンのホルモン焼きはめちゃくちゃ美味しくて。あと、お蕎麦も美味しかったですね。

福井にも車で行っていたので、日本海の海沿いを走って帰るのは、すごく気持ちよかったなぁ。

――今後、挑戦したいことや行ってみたい場所はありますか?

海外志向が強いので、アジアツアーをやりたい。海外のイベントにも出てみたいですね。俳優としても、海外の作品、もちろんアジアの作品にも出演できればと思っています。そこに向かって、今できることを積み重ねてやっていきたいと思います。

プライベートでは……やっぱり、旅に行きたいですね。今、行きたいのはニューヨーク。ブロードウェイを観たいですね。まだ行ったことがないんですよ。たくさんお芝居を観て、肌で感じて何を思って帰ってくるのか……。すごく行ってみたい場所です。

――ここ数年は映像だけでなくミュージカルや舞台にも積極的に出演されていますが、お芝居への考え方に変化などはありましたか?

ミュージカルって生モノで、歌も芝居も同時にやっていて、本当にすごいことなんですよ。映像も好きなんですけど、森崎ウィンにとって、もう一つ好きなものを見つけたような感覚がものすごくありますね。

それでもう1つできた夢が、「いつかミュージカル映画を作りたい」ってことなんです。動画を勉強しているっていうこともあって、すごくハードルは高いんですけど、自分が監督の1人として入るとか、プロデュースするというようなことができたらいいなと思っています。

――実は数年前にもお話をお聞きしたんですが、その時は「映画を撮りたい」とおっしゃられていたんです。それが「ミュージカル映画を撮りたい」と、ひとつ具体的になられていて、森崎さんの夢や目標のフォーカスがどんどん絞られてピントが合ってきているように感じました。

確かにそうかもしれないです。実はマネージャーに協力してもらって、短編のミュージカルはつくってみたんですよ。本を書いて曲も作って、生で歌ってもらって……ってやると、やっぱりワンオペでは難しくて。でも、すごく楽しかった。もちろん時間はかかると思いますし、映像を作る方は本職じゃないから、時間をかけていいとも思っています。

人生、健康に生きていればまだまだ先はあるので、しっかりと着実にやっていきたいですね。やっぱり、僕はクリエイティブなことが好きなんだと思います。

――どんどん夢がふくらみますね。森崎さんらしいミュージカル映画を拝見できる日を楽しみにしています! 本日はありがとうございました!

編集:ローチケ旅行編集部
執筆:宮崎新之
撮影:十河栄三郎

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