雪で飛行機が欠航になる確率って?欠航の条件や対策を解説
更新日:2023年11月30日
年末年始の里帰りや旅行で、また、スキーやスノボといった冬のレジャーで、飛行機を利用する予定がある方も多いのではないでしょうか。ですがこの季節にやっかいなのが、大雪、吹雪などの悪天候による飛行機の欠航です。そこで今回は、雪で飛行機が欠航になってしまう確率や条件、欠航になった場合の対処法について解説します。
目次
- 雪で飛行機が欠航になる条件
- 滑走路の積雪状況と滑走路長
- 横風と視界
- 飛行機の状態
- 欠航する確率はどのくらい?
- 欠航が決まるタイミング
- 欠航案内の確認方法
- 搭乗券の払い戻しなどの対応について
- まとめ
雪で飛行機が欠航になる条件
雪で飛行機が欠航となってしまう条件には「滑走路の積雪状況」、「横風と視界」、「飛行機の状態」の大きく分けて3つがあります。ここでは、それぞれの条件について説明します。
滑走路の積雪状況
滑走路が雪で覆われてしまうと飛行機の離着陸に危険が伴うため、「滑走路の積雪状況」は飛行機が欠航になる条件の一つになります。雪の状態はその日の天候や地域によって異なるため、航空の世界では雪の種類分けて考えています。
「Slush」…雪が水分をたくさん含んでいる状態。フローズンのような状態、というとイメージしやすいでしょう。
「Wet snow」…Slushほどではないものの、こちらも水分を多く含んだ雪のこと。握ると水がしたたり落ちる状態のベチャベチャな雪です。
「Dry snow」…降ってから時間が経っておらず、水分をあまり含んでいない雪のこと。雪玉を作ろうとしても崩れるくらいの固さの雪を指します。
国土交通省の規定では、滑走路が以下の条件に当てはまる場合の離着陸は禁止されています。
◇積雪1.3m以上で水あるいはSlush
◇積雪5.1m以上のWet snow
◇積雪7.1mのDry snow(離陸時)
◇積雪15.3m以上のDry snow(着陸時)
また、雪が降った時は滑走路も滑りやすくなるため、滑走路の長さも欠航・運航を判断する決め手となります。大規模な国際空港は3000m~4000mの滑走路を確保しているのが一般的ですが、積雪の多い北海道や東北でも滑走路が2000mしかない空港が意外と多く、滑走路の短い空港は欠航になる可能性がより高いと言えます。
横風
雪が降る時は同時に風が強くなることも多く、滑走路に対して直角に吹く横風や雪による視界の悪さも、欠航につながる要因となります。飛行機は特に離着陸時に風の影響を受け、横風に煽られると、離着陸の滑走中に進行方向を真っすぐに修正する必要がありますが、滑りやすい滑走路では修正が難しくなります。また、雪が降れば視界が極端に悪くなってしまうので、ひどい雪の場合には視界不良のために着陸ができず、離陸した元の空港まで引き返すケースも。このように「雪の滑りやすさ+横風+視界の悪さ」は、飛行機にとって実にやっかいなパターンなので、欠航を余儀なくされることがあるのです。これらの最終的な判断は現場の機長やパイロットに委ねられるので、同じ航空会社でも機長やパイロットによってその判断基準は様々である、というのが実情。経験豊富な腕の良いパイロットであれば、多少の強風であっても、飛行機を安全に離着陸させる技術があるといわれています。
飛行機の状態
雪で欠航になる条件としては、「飛行機の状態」も挙げられます。飛行機の翼は少しでも変形したり、重さが変わったりすると揚力をうまく使えなくなるため、フライトができません。ですので雪の日には、翼に積もった雪を溶かしたり、翼に雪が積もることを防いだりする作業が行われます。雪の多い空港で、飛行機に液体をかけている光景を目にすることがありますが、あれがまさにその作業!かけられているのは、「防除雪氷液」と呼ばれる融雪剤です。ただ機体にかければ良いというものではなく、かけられた液が有効であることを離陸前に確認する必要があり、一般的にはパイロットがコックピットから客室に出て、翼付近の窓から翼上の状態を確認します。翼の付け根に黒のストライプや黄色のマーキングが施されており、このマーキングが鮮明に見えるかどうかで、防除雪氷液の効果を判断しています。結果、液の効果が十分でないと判断されれば、やむを得ず欠航という判断が下されるのです。
欠航する確率はどのくらい?
飛行機が欠航してしまう確率に関してですが、もちろん航空会社や空港によって違うものの、積雪量の多い新千歳空港で、冬場(12月~2月)の欠航率が多い月で約10%、少ない月で約2%となっています。平均すると、冬場の欠航率は約5%。これを多いと見るか少ないと見るかは、人によって見解が異なってくると思いますが、分かりやすくいえば、冬場に飛行機を20回利用すると1回は欠航になる可能性がある、ということになります。ただし、この数値はあくまでも平均ということになるので、気象が比較的安定しているシーズンはこれより少なく、また逆に気象が荒れ気味のシーズンはこれ以上に多くなることもあります。
欠航が決まるタイミング
欠航が決まるタイミングに関してですが、これについては明確な判断基準やルールがあるわけではなく、基本的に判断は飛行機を操縦するパイロットに委ねられています。払い戻し等の対応に迫られる欠航は、どの航空会社にとっても大ダメージであり、できることなら予定通りに運行したいと考えているので、飛行できる可能性をギリギリまで模索します。ですので、やむを得ず欠航が決定して正式にアナウンスされるのは当日か、早くても前日である場合がほとんど。欠航が2日以上前に決まることは、ほぼないと考えておきましょう。状況次第では、フライト時刻の1時間~30分前に急遽欠航が決まる、というケースもあります。機体の種類や大きさによっても変わってきますし、ある航空会社では欠航でも、別の航空会社は運行する、ということも起こりえます。欠航・運航の判断はいろんな要因で決まるため、自分が乗る航空会社の運行状況はこまめに確認することをお勧めします。
欠航案内の確認方法
飛行機の欠航案内をどこで確認するのかについてですが、通常であれば、チケットを購入した時に提出したメールアドレスや携帯電話番号に、欠航を知らせる内容の案内が届きます。また、各航空会社は運行情報を発信するX(旧Twitter)のアカウントを開設しており、案内が届く前に、そちらで最新の情報をチェックすることもできます。なお、欠航の可能性が高まるとサービスセンターが混雑して、いつも以上に電話がつながりにくくなるため、電話での確認は控えておいたほうが賢明でしょう。なお、雪とはちょっと違いますが、大型台風の接近が予想されている時などは、早い段階で欠航が決まるケースもあります。冬場の場合は大寒波等による欠航が事前に決まる可能性もありえますので、飛行機に乗る予定がある場合は気象予報に気を配り、航空会社の運行状況を定期的にチェックすることを心がけましょう。
搭乗券の払い戻しなどの対応について
雪による欠航は利用者の個人的都合ではなく、不可抗力(天候や自然現象)や航空会社の都合による欠航、ということになるので、購入した運賃タイプに関わらず、基本的に全額が払い戻しされます。もちろんキャンセル料や払い戻し手数料なども一切かからず、金融機関への振り込み手数料も航空会社が負担します。ですが旅行代理店等を通じて航空チケットを購入した場合、一部のLCC(格安航空会社)に関しては払い戻しができないケースがあります。そのため、不測の事態に備えて、予約するタイミングで確認しておくのが良いでしょう。なお、払い戻し手続きの有効期限が航空会社によって異なるので注意しましょう。たとえば、JALは出発予定日から40日以内、ANAは30日以内となっています。返金に関してですが、購入時にクレジットカードを使った場合は、カードの口座への払い戻しとなります。コンビニ決済やインターネットバンキング、ATMで振り込んだ場合は、指定の銀行口座への払い戻しとなります。
また、飛行機が欠航したことによる宿泊費や宿泊キャンセル費は自分たちで負担することになります。復路便が欠航して帰れなくなった場合、ホテルの予約が一気に取れにくくなるので早め早めの行動を心がけましょう。
まとめ
いかがでしたか?冬場に飛行機を利用する場合、雪による欠航を想定して頭の中でシミュレーションしておけば、いざという時に焦らなくて済むはずです。今回の記事をぜひ参考にしてみてください!