ペットと飛行機に乗る際の注意点 航空会社ごとの違いも解説
更新日:2024年3月11日
旅行に出かけたり、遠方に引っ越しをしたりと、やむを得ずペットを飛行機に乗せる際、どんなことに気を付けたらいいのでしょうか。手続きの方法など、気になる方も多いはず。そこで今回は、ペットを飛行機に乗せる際の注意点や、航空会社による対応の違いなどについてまとめました。
目次
- ペットと飛行機に乗るには
- 基本的には手荷物として預け入れ
- 預かり条件
- ゲージについて
- 当日の流れ
- ペットが過ごす環境
- 飛行機に乗せる際の注意点
- 搭乗前
- 搭乗後
- 航空会社別の対応
- JAL
- ANA
- スターフライヤー
- その他
- まとめ
ペットと飛行機に乗るには
ここでは、ペットはケージ等に入れ、預かり荷物として飛行機に乗せられることや、ペットと一緒に飛行機に乗る際の予約方法、フライト当日の流れなどについて紹介します。
基本的には手荷物として預け入れ
一部航空会社を除いて、ペットを飛行機に乗せる場合、基本的には手荷物扱いとなります。搭乗者(飼い主)と一緒に客室に乗ることはできず、ペットは特別な手荷物として飛行機内の貨物室に運ばれます。そのためペットはフライト中、貨物室で過ごすことになり、会いに行ったり、様子を見に行ったりすることはできない、ということを理解しておきましょう。
預かり条件
ペットの預かりを受け入れている航空会社でも、いくつかの条件が設けられています。航空機の利用に適した健康状態であること、ペットとして飼いならされていることが大前提ですが、他にも売買用・産業用の動物でないこと、妊娠していないこと、若齢でないこと(航空会社によって年齢制限は異なる)、心臓疾患・呼吸器疾患がないことなどがあります。犬は狂犬病の予防注射と混合ワクチンの接種を、猫は混合ワクチンの接種を1年以内に受けていなければなりません。
ゲージについて
ほとんどの航空会社では、ペット同士の攻撃による怪我やリスクを考慮し、ゲージ一つにつき動物一匹(鳥の場合は二羽)まで、の収容が原則です。ゲージは、国際的な航空ルールを定める世界最大の団体・IATAの規定を満たすもののみ使用が認められています。
航空会社でもゲージの貸し出しサービスがありますが、数に限りがあるため予約時に利用希望の旨を伝えるようにしましょう。
当日の流れ
飛行機に乗る当日は、チェックインカウンターで同意書にサインをし、所定の輸送料金を支払ってケージに入れたペットを預けます。手続きには時間がかかるため、少なくとも40分前にはチェックインカウンターに到着するのがおすすめです。ペットは車両で搭乗便の貨物室に運ばれ、貨物室に乗せられます。空港に到着したら、係員が到着ロビーまでペットを運んでくれるので、手荷物受取エリアで受け取ります。
① チェックインカウンターで同意書の確認と支払いを済ませる
② ペットを預け、ペットチェックイン完了
③ 到着空港でペットを受け取る
ペットが過ごす環境
ペットが乗る貨物室には、ペット以外に手荷物や貨物も搭載されます。空調機で貨物室内の温度や湿度は管理されていますが、気圧が変動するため耳の機能に悪影響が及ぶ場合があります。エンジン音や風の音、機械音、離着陸時は地上の車の音が聞こえるほか、飛行中は照明が消えます。また、外気温などの影響を受けるため、客室と同環境ではありません。特にペットが貨物室に運ばれるまでの間は屋外での作業となるため、夏場や冬場は大きな環境変化が加わります。対策としては、夏場はクールマットや保冷剤などの冷却グッズを設置し、犬や猫のアンダーコート(下毛)を手入れすることで体温を下げることもできます。冬場は毛布やペット用カイロなどを入れておくと安心。飼い主の匂いがついているタオルやトレーナーなどでも、ペットが安心するかもしれません。ただし、ペットの体に巻きつく可能性があるなど、スタッフが不適当と判断した場合はNGが出る場合もあることを認識しておきましょう。
飛行機に乗せる際の注意点
ここでは、ペットと飛行機に搭乗する前にやっておいたほうが良いことと、目的の空港に到着し、飛行機を降りてからペットが飼い主に引き渡されるまでの流れについて説明します。
搭乗前
5月1日から10月31日の期間は、日中外気温の影響を受けやすくなります。この期間にどうしてもペットと飛行機で移動する際には、日中を避けるのがおすすめです。
ペットがケージに慣れていない場合は、段階を踏んで徐々にケージ内で過ごすことに慣れさせておきましょう。そしてケージ内でのケガを防ぐため、飛行機に乗る前日までに爪切りを済ませておいてください。
前述の通り、フライト中はペットのそばにいることができないので、フライト前にトイレ(排泄)や散歩、食事を済ませておくことも大切です。なお、ケージには給水ボトルを取り付けることが可能(航空会社による)なので、長時間のフライトの場合や夏場は取り付けてあげると良いでしょう。給水ボトルが初めての場合、飲み方が分からなかったり、誤って鼻に水を入れてしまうことも考えられるので、給水ボトルからスムーズに水が飲めるよう、慣れさせておくようにしましょう。
フライト中、寂しさを少しでも紛らわせてあげようとゲージの中におもちゃを入れたくなってしまいますが、誤飲の原因になるため注意が必要です。首輪やリードについても、咬みちぎってしまったり身体に絡まったりする危険も。緩みなどなく適切に装着されているかの確認が大切です。
搭乗後
まずは体調を確認しましょう。名前を呼び、体に触れてあげていつもと違う様子がないかをチェックします。少しでも状態の悪さや異変を感じた場合は動物病院で診てもらうほうが安心です。前もって空港周辺の動物病院を調べておくことをおすすめします。
なお、飛行機に乗った時に気圧の変化で耳が痛くなる、いわゆる「飛行機耳」ですが、犬などのペットも人間と同じように不快感や痛みを感じているはずです。私たち人間はあくびをしたり、飴をなめたりと自発的に「耳抜き」を行って対処できますが、実はペットにも人間と同様に、外部の気圧変化に対応して、中耳内の気圧が外耳内の気圧と同じになるようにする機能が備わっています。ペットも自発的に口を開けたり、あくびをするなどして自身で耳抜きを行っているので、ペットの飛行機耳に関して飼い主が何らかの対策を施す必要はありません。それでも不安な方は、かかりつけの獣医師に相談してみましょう。
航空会社別の対応
ペットと一緒に飛行機に乗る際には、航空会社によって規定やサービスが異なります。ここでは、JAL、ANA、スターフライヤー、その他の航空会社に分けて、規定の違いやサービス内容を紹介します。
ANA
ANAでは哺乳類と鳥類(猛禽類を除く)の預け入れが可能です。しかし、毎年5月1日~10月31日までの夏季期間は、短頭犬種(ブルドッグ、フレンチブルドッグ、ボクサー、シーズー、ボストンテリア、ブルテリア、キングチャールズスパニエル、チベタンスパニエル、ブリュッセルグリフォン、チャウチャウ、パグ、チン、ペキニーズ)は飛行機に乗せることができません。短頭犬種は他の犬種と比較して高温に弱いという特徴があり、熱中症や呼吸困難を引き起こす恐れがあるためです。爬虫類や魚類、昆虫は基本的に持ち込み不可ですが、一定の条件を満たした一部ペットに関しては機内持ち込みが認められている場合もあります。
また、貨物扱いでペットのみを輸送することも可能です。手荷物としての預け入れとは条件が異なるので、オフィシャルサイトで確認してください。
■料金
国内線1区間1ケージあたり6,500円(沖縄(那覇)-石垣線4,500円)
JAL
JALでは小動物と小鳥に限り預け入れが可能です。時期を問わず、短頭犬であるブルドッグ、フレンチブルドッグは乗せることができません。ですがパグ、チン、ボストンテリアなど、その他の短鼻犬・短頭犬、ブルドッグ・フレンチブルドッグの雑種であれば、手荷物として乗せることができます。また、ANAでは預け入れ不可だった猛禽類も、ペットであることが確認でき、条件を満たしていれば預け入れが可能です。爬虫類や両生類の預け入れは不可ですが、条件を満たすオタマジャクシ、ウーパールーパー、 小型の金魚、メダカなどの淡水魚や小型のカニやカブトムシ、クワガタなどの昆虫類は機内への持ち込みが許可されています。
また、貨物扱いでペットのみを輸送することも可能です。手荷物としての預け入れとは条件が異なるので、オフィシャルサイトで確認してください。
■料金
国内線1区間1ケージあたり4,400円~6,600円
スターフライヤー
スターフライヤーでは、預け入れ可能なペットの基準を、飼いならされた小犬、猫、ハムスター、フェレット、うさぎ、小鳥(猛禽類は不可)など、主に市販のペットフード・種・果実・昆虫を常食とするものであり、小動物等を常食としないものと定めています。魚類、昆虫、蛇の預け入れはできません。毎年5月1日~10月31日の夏季期間は「短頭犬種(対象はANAと同様)」の預け入れも不可となっています。小さな魚、昆虫などは、一定条件を満たせば機内に持ち込むことができます。スターフライヤーはANAやJALのようにペットのみの輸送は受け付けていませんが、機内ペット同伴サービス「FLY WITH PET!」が実施されています。国内航空会社唯一のサービスで、ゲージに入れたペットを隣の座席に乗せることができます。2024年1月15日から国内線全路線・全便に拡大しました。指定のサイズのケージ(50cm×40cm×40cm程度)に入る小型の犬および猫です。なお、ケージ内のペットにはペット用マナーウエア(おむつ)を着用させる義務があります。飛行機を降りるのは他の乗客が全員降りた後、一番最後に降りることになります。
■料金
国内線1区間1ケージあたり6,500円
その他
スカイマークやAIR DO、FDAは預け入れサービスがありますが、ピーチ、ジェットスター、スプリングジャパンは持ち込み・預け入れ問わずペットを乗せることができません。ピーチについては、体障害者の方の補助犬(盲導犬、聴導犬、介助犬)は同伴が可能です。
まとめ
今回はペットと飛行機に乗る際の各航空会社の基準をまとめてみました。希望条件に合う航空会社があればオフィシャルサイトで詳細を確認してみてください。