飛行機で耳が痛いと感じるのはなぜ?原因と対策について解説

更新日:2025年3月28日

飛行機で耳が痛いと感じるのはなぜ?原因と対策について解説

飛行機の上昇・下降時に耳が痛いと感じた経験がある方は少なくありません。出張や旅行などで飛行機に乗るたびに、耳の痛みに悩まされ、ストレスを感じている方もいるでしょう。
そこで今回は、飛行機で耳が痛くなる原因と痛みが生じた際の対処法を紹介します。対処法を知っておけば、痛みが引いたり緩和されたりする場合があります。あわせて、事前にできる予防についても紹介しますので、飛行機に乗るたびに耳の痛みを感じている方や、機内で快適に過ごしたい方はぜひ参考にしてください。

目次

飛行機で耳が痛いと感じる原因

飛行機で耳が痛いと感じる原因

飛行機に乗っていて耳が痛くなる原因は、気圧の変化です。地上と飛行機が飛ぶ高度とでは、気圧がかなり異なり、鼓膜の内側と外側で圧力の差が生じて耳の痛みにつながります。特に、離陸・着陸時は急激な気圧変動により、耳が詰まったように感じるなど、耳が痛みやすくなります。離陸時は、地上から上空へとかなりのスピードで上がっていくため、鼓膜の内側が外側よりも高気圧になり、外側に押し出されるような圧力がかかります。一方、着陸時は、鼓膜の外側が内側よりも高気圧になり、鼓膜が内側に押し込まれるような状態になります。
このように、気圧差により耳の内部が圧迫されているように感じるため、体に痛みとして現れます。

飛行機で耳が痛くなる人とならない人の違い

飛行機で耳が痛くなる人とならない人の違い

飛行機の上昇や下降するタイミングで耳が痛い人と痛みがない人の違いは、耳の特徴です。鼓膜が強い方や耳管が太い方のほうが痛みを感じにくい傾向にあります。
耳管とは、耳と鼻をつなぐ管のことで、鼓膜部分の圧力を調整する働きがあり、耳管が太い人ほど空気が通りやすいため、気圧の調整がしやすい傾向があります。耳管が太くても耳の痛みを感じるケースはありますが、細い場合だと、より耳が痛くなりやすいでしょう。
また、風邪や花粉症、アレルギー性鼻炎などで鼻の調子が悪いときに飛行機に乗った場合も、耳が痛いと感じるケースがあります。こちらも耳管が関係しており、風邪などで鼻の調子が悪いと耳管の通りが悪くなり、中耳腔と上咽頭とをつなぐ耳管の機能が正常に働きにくいため、鼓膜の気圧調整に影響を及ぼしていると考えられます。

飛行機で耳が痛いのは病気かも?症状は大きく3つ!

飛行機で耳が痛いのは病気かも?症状は大きく3つ!

飛行機で耳が痛い時、軽傷の場合は対処法を試すことで解消する場合がほとんどですが、耳のひどい痛みや不快感が長時間続く場合は、「航空性中耳炎」の可能性が高いでしょう。飛行機に乗った場合に生じる耳の痛みの症状は大きく分けて下記の3つが考えられます。

・耳鳴り
・音や声が聞こえにくい
・耳の詰まり感

基本的には数分で自然に治るといわれている突発的な病気ですが、なかには数時間経っても痛みや上記のような症状が続く方もいます。特に重症の場合は耳以外の症状として、めまいを引き起こすリスクもあります。耳鼻科では、炎症悪化の薬を処方してもらえる場合があるため、その場合は耳鼻科を受診するとよいでしょう。

飛行機で耳が痛いときの3つの対処法

飛行機で耳が痛いときの3つの対処法

本章では飛行機に乗っていて耳が痛いときの3つの対処法について紹介します。いずれも自分の席で手軽にできる対処法であるため、飛行機で耳が痛くなりやすい方はぜひ実践してみてください。

あくびをする

耳の痛みが軽い方は、あくびだけで症状が治まる可能性があります。あくびは耳管が開く動作のため、空気がスムーズに通り、鼓膜の圧迫感が軽減されます。あくび以外にも、顎を動かす動作が耳管の働きを向上させるため、あくびと組み合わせて実践してみるとよいでしょう。

水を飲む

水を飲む行動も、飛行機で耳が痛いときに効果的な対処法です。水を飲むときに耳管が開くため、空気が通りやすくなり、耳の痛みの軽減につながるでしょう。また、機内は非常に湿度が低く、常に乾燥しているため、水を飲むと喉や鼻の粘膜が潤い、耳管が正常に機能しやすくなります。機内は日常生活以上に喉や鼻が乾燥しやすいため、定期的に水分補給を行いましょう。ただし、離陸・着陸のタイミングは大きな揺れを伴うため、可能であれば機内が落ち着いてから試してみるとよいでしょう。

耳抜きをする

飛行機で耳が痛い場合は、耳抜きがおすすめです。耳抜きとは、鼓膜にかかる圧力を調整する方法です。耳抜きは、主にスキューバダイビングで行われる圧力の調整方法ですが、飛行機で耳が痛い場合の対処法としても活用できます。
おすすめの方法は「バルサルバ法」と「トインビー法」です。

まず、バルサルバ法のやり方は以下の通りです。

1. 鼻をかむ
2. 鼻をつまむ
3. 息を軽く吸い込み、口を閉じる
4. 耳まで空気を送るイメージで優しく唾を飲み込む

耳が抜ける感覚になるまで数回繰り返すと、痛みが治まる可能性があります。痛みが軽減されないからといって何度も試すと鼓膜が傷つく危険もあるため、やりすぎないように注意しましょう。
また、トインビー法はバルサルバ法よりも耳に優しい耳抜きで、鼻をつまんだ状態で唾を飲むことで耳管を開き、鼓膜の圧力が調整されます。手軽にできる方法のため、小さい子どもでも実践しやすいでしょう。

飛行機で耳が痛くならないための予防法5選

飛行機で耳が痛くならないための予防法5選

飛行機で耳が痛くなりやすい方は、機内での過ごし方や事前準備を知っていれば、予防できる可能性があります。
ここでは、おすすめの予防法5選を紹介します。完全に予防できるとは限りませんが、人によっては離着陸時の耳の痛みが緩和されるかもしれません。

飴やガムを食べる

子どもから大人まで手軽にできる予防法として、飴やガムを食べることがあげられます。飴やガムを食べると、唾液を飲み込むときに耳抜きがしやすくなり、耳の詰まりが消えることがあります。そのため、トインビー法をせずとも、耳抜きが簡単に行えます。飴やガムは荷物としてかさばる心配もないため、機内持ち込みのバッグに入れておき、いつでも出せる状態にしておくとよいでしょう。
ただし、シンガポールなどの一部の国で飴やガムの持ち込みに規制がかけられている場合もあるため、海外旅行で飛行機を使用する際は、食品の持ち込み条件を確認しておきましょう。

風邪や鼻炎、アレルギー治療を行う

風邪や鼻炎、アレルギーなどがある場合は、搭乗前に治療を行いましょう。普段、耳が痛くならない方でも、風邪をひいているときやアレルギーなどで鼻が詰まっている場合は痛みを感じやすく、耳の痛みが重症化するケースもあります。特に花粉の時期などは鼻が詰まりやすい方もいるでしょう。事前に診察を受け、処方薬が出た場合は用途を守って服用すると、耳の痛み予防効果が期待できます。

睡眠を避ける

長時間のフライトは眠くなりがちですが、睡眠は唾を飲み込む頻度が減り、粘膜の乾燥につながるため、耳が痛くなりやすくなります。粘膜の乾燥は耳管の機能低下になりかねず、空気が通りにくくなり、耳の痛みにつながるため、注意が必要です。特に、飲酒後は耳管周りの粘膜が腫れやすく、さらに機能が低下している状態です。飲酒後の睡眠は、耳が痛くなりやすい方は避けたほうがよいでしょう。

耳栓をする

飛行機専用の耳栓は、気圧調整効果を搭載しているタイプもあり、離着陸時の耳への圧迫感や痛みが軽減されるでしょう。耳栓の使用によってどのくらい痛みが軽減されるかは個人差がありますが、耳栓には遮音効果もあるため、静かな空間を保ちたいという方におすすめです。また、よく飛行機を乗る方は必需品として持っておくと便利です。

点鼻薬を使用する

鼻詰まりを緩和する点鼻薬は、耳の痛み予防・軽減に効果的です。鼻詰まりが改善すると、耳と鼻をつないでいる耳管が正常に機能するため、飛行機に乗った際の耳の痛みが緩和されます。
実際に、大手航空会社でも、点鼻薬の使用を予防として推奨しています。点鼻薬は市販でも購入できるため、離着陸前に使用しましょう。また、日本の航空会社では、血管収縮剤を含んだ点鼻薬が機内に常備されているケースがあるようです。もし痛みが生じた場合は、乗務員に点鼻薬をもらえるか聞いてみるとよいでしょう。

まとめ

まとめ

飛行機に乗ると耳が痛いと感じる原因は、気圧の急激な変化による鼓膜の圧迫・耳管の機能低下です。この症状を「航空性中耳炎」といい、耳の痛み以外にも耳鳴りやめまいなどの症状が出る場合もあります。症状が治まらない方や痛みがひどい方は、早めに医療機関を受診しましょう。
また、痛みが生じた場合は、あくびや耳抜きをすると軽減される可能性があります。本記事で紹介した対処法や予防法を試し、ぜひ飛行機の時間を快適に過ごしてください。

PAGE
TOP