飛行機でスマホやタブレットは使用できる?機内Wi-Fiサービスについても解説
更新日:2025年4月28日

飛行機での旅行を計画している場合、スマートフォン(スマホ)の持ち込みや、取り扱いについて事前に知っておきたい方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、機内で使用する際の条件や注意点、利用できるサービスについて紹介します。
目次
- 飛行機でスマホは使用できる?
- 飛行機でスマホを使用するための条件
- スマホなどを機内モードにしなければならない理由は?
- 機内モードにしないとどうなる?
- 機内でスマホが使用できないタイミング
- 機内Wi-Fiとは?
- 機内Wi-Fiを利用する方法
- 機内Wi-Fiの仕組み
- 衛星通信タイプ
- 地上基地局タイプ(ATG方式)
- 機内Wi-Fiを提供している航空会社
- 機内Wi-Fiがつながらない理由と対処方法
- Wi-Fiの利用を軽いデータのものに留める、利用者が少ないタイミングを狙う
- オフラインの環境やバックアップが取れる体制を準備する
- 機内Wi-Fiの接続状況を確認する
- 機内でスマホを使用する際の注意点
- まとめ
飛行機でスマホは使用できる?

かつては、スマートフォン(スマホ)やタブレットなどの携帯端末、電子機器類は「端末から発信される無線信号が操縦室の計器類に干渉して安全な運航を妨げる」として、飛行機への搭乗後は一切の使用が禁止されていました。しかし、2013年にアメリカが、スマホなどの電子機器の持ち込み・使用許可を認める方向に舵を切ったことで、日本の航空法も改正され、2014年9月1日からは国土交通省の告示で、スマホを含む一部の電子機器類の使用が全面的に可能になりました。常時使用可能な電子機器は、機内モードでWi-Fiシステムを使用し、無線通信を行わない携帯電話やスマホ、タブレット、Bluetoothで無線通信を行うヘッドフォン、デジタルカメラなどとされています。なお、音声通話はいかなる場合でも禁止されています。また、離着陸時はノートパソコンなど大型の電子機器は使用できず、小型電子機器のみが使用できます。離陸後は、上空で航空機以外の設備と無線通信を行う電子機器が使用可能となります。
飛行機でスマホを使用するための条件

飛行機の機内でスマホを使用するには、機内モードにセットするなど、電波を発生させない状態にしておくことが必須となります。機内モードではインターネットへの接続ができないため、メールの送受信やサイトの閲覧などはできません。そのため、機内でのスマホなどを使用する場合は、あらかじめダウンロードしておいた動画や音楽を楽しむことが前提になります。
スマホを機内モードにしなければならない理由は?
飛行機が自機の位置を確認するには、機体に搭載されている無線ビーコンという装置で衛生や地上からの電波を受信する必要があります。この無線ビーコンをはじめ、機内にある通信機器の周波数はスマホや携帯電話と近く、たとえ微弱であっても電波の受信やパイロットが地上の管制官と通信を行う際、システムに干渉するおそれがあります。スマホは操作していない状態でも自発的に電波を発信することがあるため、機内モードにセットすることが必須となります。ただし、機器同士で接続するBluetoothや航空会社が提供するWi-Fiについては使用が認められています。
機内モードにしないとどうなる?
機内モードの設定を意図的に無視するなど規則を破った場合、航空法施行規則第164条の16にある「安全阻害行為等の禁止」に抵触します。正当な理由がなく機外の通信設備と無線通信を行うと、航空機の運航の安全に支障を及ぼす「安全阻害行為」に該当し、機長や客室乗務員は使用者に対して禁止命令を出すことができます。命令に従わない場合は、50万円以下の罰金を科せられることがあります。この規則は日本の航空会社だけでなく、日本の領土・領空を飛行する海外の飛行機にも適用されます。実際に機長の命令を無視して逮捕者が出たケースもあるので、自分だけは大丈夫という甘い考えを持たず、機内モードの設定は遵守することを心がけましょう。
機内でスマホが使用できないタイミング

機内でスマホが使用できない時間帯は、「飛行機のドアが閉まった時」から「着陸後の滑走が終了する時」までと定められており、飛行機のドアがしまったら機内モードにするか、電源を切る必要があります。機内モードに設定されている場合は、どのタイミングでも使用可能となっています。しかし、悪天候で運航に支障をきたすと判断される場合や、乗客にペースメーカーを使用している人がいる場合には、機内モードでも使用できないことがあり、電源を切るようにアナウンスされることがあります。また、子ども用の携帯電話は機内モードの設定がないことが多いため、電源を切っておく必要があります。
機内Wi-Fiとは?

航空会社によっては機内でWi-Fiのサービスを提供しており、動画や電子書籍など、航空会社独自のコンテンツを視聴することができます。一般的に国内線は無料、国際線はファーストクラスが無料で、それ以外は有料とされています。
日本航空(JAL)では、以前からWi-Fiサービスを提供しており、2017年からインターネットについても無料で利用できるようになりました。全日本空輸(ANA)では2016年からWi-Fiサービスの提供を開始し、2018年からインターネットの利用が可能になりました。LCC(格安航空会社)やMCC(中堅航空会社)の場合は、Wi-Fiサービスを提供していない、有料での提供、提供しているが機内コンテンツのみ利用可能など、会社によって対応が異なります。
機内Wi-Fiを利用する方法
ANAとJAL、いずれの場合も、スマホやタブレットから専用のアプリをダウンロードしておくと便利です。
ANAでは、まずWi-Fiのネットワーク名で「ANA-WiFi-Service」を選択。ANAアプリを利用し、「WiFi 国内」をタップし、次に表示される画面で「接続」をタップするとインターネットを利用できるようになります。ブラウザの場合は、URL欄に「http://www.ana-inflight-wifi.com」を入力すれば接続できます。
JALでは、Wi-Fiのネットワーク名で個人用画面がある人は「Japan Airlines」を、ない人は「JAL-WiFi」に接続。スマホのネットブラウザを起動し、URL欄に「jal-wifi.com」と入力します。表示されたポータルサイト上で「インターネットに接続する」をクリック、またはタップするとインターネットの利用が可能になります。JALアプリを利用する場合、「機内Wi-Fi」をタップ、接続ボタンを押せば利用できます。
機内Wi-Fiの仕組み

周囲に雲しかない地上10,000mの上空で、どうしてインターネットを利用できるのか、不思議に感じる人もいると思います。飛行機の機内Wi-Fiには大きく2つの種類があり、飛行機外部からの通信方法に違いがあります。
衛星通信タイプ
多くの航空会社が利用しているのが衛星通信を利用したWi-Fiサービスになります。これは、地上の基地局から発信された電波が赤道上空にある静止衛星を経由して、飛行機の上部に設置されたアンテナに送られる形式です。この技術では地理的な制限を受けにくいことから、上空だけでなく、海上や山岳地帯など通信インフラが万全でない場所でもインターネットへの接続が可能になります。日本の航空会社では、大半がこの衛星通信タイプのWi-Fiを採用しています。便利な衛星通信タイプのWi-Fiですが、悪天候の場合は通信速度が落ちるというデメリットもあります。また、地球から衛星の距離が約36,000キロも離れていることから地上よりも通信速度が遅くなってしまうことが課題とされています。最近では、イーロン・マスク氏の会社「SpaceX」が提供する「Starlink」のような低軌道衛星も登場し、機内での高速通信も可能になりつつあり、ユナイテッド航空やハワイアン航空など主要航空会社では導入が進められています。
地上基地局タイプ(ATG方式)
地上基地局タイプは、地上に設置されている基地局と飛行機で直接電波の送受信を行う形式で、「Air-To-Ground」を略してATG方式とも言われています。飛行機側は機体の下部に設置されたアンテナで電波を受信する構造となっています。この形式では地上にたくさんの基地局が必要とされ、大陸の上陸を飛行するアメリカの航空会社が主に使用しているほか、ヨーロッパでも一部の航空会社が採用しています。衛星通信よりも遅延が少なく、速くて安定したインターネット接続を行えるのがメリットで、低空飛行や短距離のフライトには有効です。しかし、海上や山岳地帯では利用できず、飛行機の高度が上がるに従って繋がりにくくなるため、長距離のフライトには適していません。
機内Wi-Fiを提供している航空会社

現在、国内線では先に述べた通り、ANAとJALがインターネットに接続できる機内Wi-Fiを無料で提供しています。それ以外の航空会社では、MCC(ミドル・コスト・キャリア)であるソラシドエア(SNJ)が電子書籍やオーディオ、動画を視聴できる「ソラタイム」という無料のWi-Fiサービスを提供していますが、インターネットへの接続はできません。AIRDO(ADO)も機内でのみ視聴できるコンテンツ「Do Sky On-Demand」を提供しており、こちらもインターネットへの接続はできません。スターフライヤー(SFJ)は、2023年7月からエアバスA320neoでのみインマルサットGX衛星のKaバンドを利用したWi-Fiサービスを無料で提供。インターネットに接続することも可能となっています。LCC(格安航空会社 ロー・コスト・キャリア)では現在、日本に就航している会社のいずれもWi-Fiのサービスを提供していません。
機内Wi-Fiがつながらない理由と対処方法

スマホの状態が万全であるにもかかわらず飛行機内のWi-Fiに接続できないというケースがあります。自然現象やセキュリティの設定など、様々な原因が考えられるので、知識を備えて冷静に対処できるようにしておきましょう。
Wi-Fiの利用を軽いデータのものに留める、利用者が少ないタイミングを狙う
飛行機に配備されているWi-Fiは、限られた帯域幅を乗客全員で共有しています。そのため、機内が混雑している場合などは、たくさんの人が一度に使用するため回線が混線し、通信速度の低下や不安定な接続を引き起こしてしまいます。長時間の動画など大容量のデータを読み込むと回線容量がパンクし、一時的に機内の全員が接続できなくなるおそれもあります。こういったトラブルを未然に防ぐため、一部の航空会社ではストリーミングサービスの利用や帯域に制限を設けています。システム面の改善も課題となっており、衛星通信と地上基地局タイプを併用するハイブリッド型のWi-Fiサービスも開発が進められています。現時点では、機内でのWi-Fiの利用をデータの軽いものに留める、利用者が少ないタイミングを狙うなど、工夫して利用するのがおすすめです。
オフラインの環境やバックアップが取れる体制を準備する
先の項目で述べた衛星通信タイプのWi-Fiは、高い高度でも接続が安定していることが特徴となっています。しかし、天候による影響を大きく受けるという側面もあり、飛行機が嵐や乱気流、雷雨などに遭遇すると衛星からの電波受信が一時的に遮断されることがあります。フライト中の高度変化も飛行機の角度とアンテナの向きが変わるため接続状況に影響を及ぼします。現在、航空会社やWi-Fiサービスの提供元であるプロバイダー企業は、これらの問題に対処するため、高性能アンテナの開発や複数の衛星によるバックアップシステムの構築を進めています。自然現象による通信トラブルは予測や対策が困難になるため、飛行機内で大事な作業を行う際は、オフラインの環境やバックアップが取れる体制を準備しておきましょう。
機内Wi-Fiの接続状況を確認する
周囲の人がWi-Fiに接続できているのに自分だけが繋がらない場合、スマホの設定を見直してみましょう。まずは、機内モードがオンになっている状態でWi-Fiのネットワークが正しいものを選んでいるか確認します。ネットワーク名は航空会社で独自に設定されているので事前に調べておきましょう。正しいネットワークを選んでいると専用のアプリやポータルサイトで認証ページに移動することがあり、多くの場合、ここで最終的な接続を行います。手順が進まない場合、航空会社が提示する特定のアドレスをブラウザに入力すると解消されることがあります。地上基地局タイプのWi-Fiシステムでは位置情報の許可設定がオフになっているとネットワークが検出されないことがあります。これらの状況以外でうまく接続できない場合は、スマホ側のセキュリティ設定が原因になっていることが考えられます。ファイヤウォールのセキュリティ設定強度が高くなっていると機内Wi-Fiをブロックしている可能性があるため、いったん無効化して再接続する方法もあります。ただし、この方法はセキュリティ上のリスクを伴うので注意が必要です。VPNも機内のWi-Fiに干渉したり通信遅延を発生させたりすることがあるので、一度オフにしてみるのも有効です。他にもキャッシュやCookieをクリアにするといった対処法があります。
機内でスマホを使用する際の注意点

飛行機内でスマホを使用する場合、提供されるWi-Fiサービスは、あくまで公共のものであることを念頭に置いておきましょう。インターネットに接続してオンラインショッピングをする人もいるかもしれませんが、クレジットカードの番号など、個人情報については、セキュリティをしっかり意識したうえで入力するように心がけましょう。また、バッテリーの残量が少なくなった際、大半の飛行機は機内のUSBポートやコンセントの電源で充電できるようになっていますが、離着陸時には使用が制限されることもあります。電池切れが心配な場合はモバイルバッテリーも用意しておきましょう。
まとめ

飛行機内でのスマホの使用に関して、ルールが定められていることを知らない人は意外と多いのが実情です。トラブルを未然に防ぐためにも、航空会社が発表している情報は、事前に把握しておくことが必要です。機内で提供されているWi-Fiサービスについてもインターネット利用の可否や、どのようなコンテンツを視聴できるかなど、事前に確認しておくと到着時間までの楽しみ方が何倍にも広がるでしょう。