飛行機のトイレはどこにある?使用方法や処理の仕組み、マナーを解説
更新日:2025年11月26日
飛行機に乗る際、多くの人が気にかけていることの一つがトイレの使用。1~2時間程度の国内での移動ならまだしも、国外など長距離のフライトとなると、どれだけ事前に済ませていても搭乗中の使用を余儀なくされます。通常よりも狭い室内、同乗者との共用など、心理的に不安を感じる要素も多い飛行機のトイレですが、洗浄処理の仕組みや適切な使用方法を知っておくことで安心して使うことができるでしょう。
目次
- 飛行機にトイレはある?
- 飛行機のトイレの場所
- 飛行機のトイレの使い方
- ドアの開け方・閉め方と施錠方法
- 水の流し方
- 洗面台の使用方法
- 排泄物はどこへ行く?飛行機のトイレの仕組み
- 旧式のトイレ「循環式」の処理方法
- 主流のトイレ「バキューム式」の処理方法
- 飛行機のトイレを使用する際の注意点とマナー
- トイレは搭乗前に済ませておくのが基本
- 飛行中にトイレを使用するタイミング
- 乱気流時は低い姿勢を保ち手すりにつかまる
- トイレの衛生を保つよう心掛ける
- まとめ
飛行機にトイレはある?
ANAやJALをはじめとする航空会社が運用している飛行機には、国内線・国際線問わずトイレが備え付けられています。飛行機の場合、地上の交通機関と違ってサービスエリアなどの施設へ立ち寄りができないため、トイレが設置されていないと乗客の健康に問題が発生するおそれがあります。安全・快適なフライトを実行するためにも飛行機内でのトイレ設置は必須とされています。
関連記事:https://tour.l-tike.com/contents/media/article20230904.html
飛行機のトイレの場所
飛行機のトイレは機種によって場所や数が異なりますが、一般的に国内線では機体の前方と後方に1か所ずつ設けられています。国際線の場合、大型の機体では前方・中央・後方に複数設置されていることもあります。前方はコクピットの近くで、一般的にファーストクラスやビジネスクラスを対象としています。このクラスの場合、航空会社によっては室内の広さが通常の1.5~2倍とされていることもあります。中央や後方は主にエコノミークラスの利用者を対象としています。
トイレの回数が多い方はトイレに近い座席、座席の移動などで行きづらさを感じる方は立ちやすいように通路側の席を選ぶなど、座席の場所も検討してみるとよいでしょう。
関連記事:https://tour.l-tike.com/contents/media/article20220802.html
飛行機のトイレの使い方
実際に飛行機のトイレを使用する際には、どのような点に注意するべきか。マナー面も含めて紹介します。
ドアの開け方・閉め方と施錠方法
飛行機のトイレのドアは通常、スライド式もしくは内側に押すタイプとなっています。中に人がいる場合はドアに設置されたサインが赤色、または「LOCK」「OCCUPIED(使用中)」といった表示になっているので順番を待つようにしましょう。緑色の表示になっている場合は無人であることを示しているので、すぐに使用することができます。施錠の方法はドアに付いている小さなレバーやスイッチを引く、押すなどするとカチッという音とともにロックがかかります。使用後はレバーやボタンを「UNLOCK(解除)」「VACANT(空)」などの位置に戻すとドアを開けることができます。仕組みはいたってシンプルで、言葉とイラストでも説明が書かれていることが多いので、初めての場合でも迷うことなく使用できるでしょう。
水の流し方
飛行機のトイレは一般的なトイレとは異なりフラッシング機構という仕組みが用いられ、水が流れません。使用方法は、排泄後に便器のフタを締めて立ち上がり、トイレの横にあるフラッシュボタンを押すと排泄物がタンクに吸い込まれます。便器はテフロンでコーティングされ、低摩擦の状態となっているので排泄物はきれいに流されます。便座に座ったままでフラッシュボタンを押すと便器の中に落ちたものが拾う前に吸い込まれてしまうおそれがあります。また、強い吸引力で体が便器にはまってしまうという事例も見られます。洗面台を使用している時に歯磨き粉や化粧品などを落とすこともあるので、使用時以外は必ずフタを閉めておきましょう。また、初めて使用する場合、吸引時の大きな音に驚くかもしれないので注意しましょう。
洗面台の使用方法
飛行機のトイレに設置されている洗面台はキャビネットや他の機能が一体となっており、水を流す仕組みは飛行機が製造された年代によって異なります。水の使用量が限られている機内で節水するため、古い機体ではボタン式、最新の機体ではセンサー式が採用されています。洗面台の幅・奥行きはあまり大きくないので、洗顔など手洗い以外に使用すると水が床にこぼれるおそれがあります。
排泄物はどこへ行く?飛行機のトイレの仕組み
汚物を貯め込んだタンクが空港で回収されるまで、飛行機のトイレは、どのように排泄物を処理しているのか。新旧の機体で内部の構造を比較し、快適にトイレを使用するための仕組みを紹介します。
旧式のトイレ「循環式」の処理方法
古いタイプのトイレは循環式と呼ばれる構造で、トイレの真下に汚物タンクを設置しています。仕組みは排泄物を流すための水を消毒・浄化しながら循環するという地上のトイレと近いものになっています。しかし、飛行機では使用できる水の量が限られており、この方法では、どうしても水の汚れを避けることができません。さらにトイレとタンクの距離が離れてしまうと水の消費量が増えてしまうため、飛行機内の各トイレにタンクの設置が必要とされます。
主流のトイレ「バキューム式」の処理方法
循環式トイレの欠点を解消したのがバキューム式のトイレです。バキューム式では水を使用せず、強い吸引力によって排泄物をタンクまで運びます。この吸引力は飛行機の中と外で生じる気圧の差によって生み出されています。上空1000mで飛行機が飛んでいるとき、気圧は機内で0.8気圧、機外で0.2気圧となっており、空気は気圧が低い方へと流れる性質があります。バキューム式ではこの性質を利用。フラッシュボタンを押すとパイプの途中に設置された弁が開き、排泄物を一気にタンクまで運びます。飛行機が地上にいると気圧差は発生しませんが、その間はバキュームブロアという巨大な掃除機のような機械でタンク内の気圧を下げ、人工的に気圧差を生み出して使用できるようにします。水の使用量が抑えられ、排泄物を一か所に集約できるバキューム式は、近年、飛行機で設置されるトイレの主流となっています。
飛行機のトイレを使用する際の注意点とマナー
飛行機のトイレは地上のトイレと構造が異なり、スペースも限られていることから、決して便利とはいえません。フライト中、トイレの使用時にトラブルが起きると到着まで使用できなくなるおそれがあります。安全性・衛生面の両方で安心して使用できるよう、最低限の注意事項を知っておきましょう。
トイレは搭乗前に済ませておくのが基本
飛行機が離陸すると乗客の安全を確保するために約15~20分間、シートベルト着用サインが点灯しています。その時間はトイレを使用できないため、急な便意や尿意が発生しても我慢を余儀なくされてしまいます。そのため空港についてからはジュースやお酒など、水分を摂りすぎないようにし、トイレは搭乗前に済ませておくことが基本です。
飛行中にトイレを使用するタイミング
先の項目で述べた通り、飛行機では離陸から約15~20分間、シートベルト着用サインが点灯しているので座席から離れることができません。消灯後は大半の乗客がリラックスモードとなり、離席する人があまりいないので、混雑せずにトイレを使用するには絶好のタイミングとなります。乗務員が機内食を提供するタイミングもトイレに行く人が少なく、待たずに使用できるでしょう。トイレの使用にあたっては、周辺の乗客に迷惑をかけないよう、搭乗したら自分の座席に近いトイレの場所を確認しておきましょう。乳幼児を連れている場合は、おむつ交換台の場所も事前に確認しておくとフライト中におむつ交換のタイミングになっても安心です。着陸時も離陸時と同様、シートベルト着用サインが点灯して約15~20分間、離席不可となってトイレは使用できなくなります。
乱気流は低い姿勢を保ち手すりにつかまる
あまり起こり得ることではありませんが、トイレの使用中に飛行機が乱気流に巻き込まれると機体が大きく揺れることがあります。座席にいる場合はシートベルトを締めるように指示されますが、トイレの場合はそのような設備もないので不安も大きくなります。このとき、安全の確保を最優先し、あわてて外に飛び出さないように注意しましょう。トイレの室内では便器に座って身をかがめ、姿勢はなるべく低くします。すぐ隣には、このような事態に備えてつかまるためのバーや手すりが設置されています。しっかり握って、乱気流から抜けるのを待ちましょう。
トイレの衛生を保つよう心掛ける
すべての乗客が快適に使用できるよう、衛生面でのマナーを厳守すること飛行機のトイレにおける鉄則です。トイレは狭いスペースを何人もの乗客で共用するため、使用後そのままにしておくと細菌が湧いて健康被害に繋がるおそれがあります。使用前後はウェットティッシュなどで便座を拭いておくと安心です。また、吸引力の強いバキューム式のトイレでもトイレットペーパー以外のものを流すと詰まりの原因になります。ゴミは備え付けのゴミ箱などに捨てるようにしましょう。飛行機の機内は全面禁煙となっているので、喫煙者の人は、くれぐれも室内で吸わないように注意しましょう。仮に吸ってしまった場合、火災や換気のトラブルを起こす可能性があります。
まとめ
いかがでしたか? 飛行機のトイレは地上のものと異なる点が多いため、事前に仕組みなどを知っておけば目的地までの時間を快適に過ごすことができるでしょう。離陸すると一定時間、座席から立つことができないため、搭乗前には空港でトイレを済ませ、慌てることがないようにしましょう。